2010年10月30日土曜日

原稿提出

昨晩は隊長の研究会原稿の提出締め切りで締め切り10分前の駆け込み提出となってしまった。原稿の出来については当人が十分認識していると思うのでここでは触れまい。

ここ数年で学会関係の原稿提出は全て電子化され、メールもしくはWebからPDF原稿を提出する方法が一般的になってしまった。私が学生の頃、いまから20年前はまだ紙に印刷した原稿を郵送し、オフセット印刷されて予稿集や冊子として配布されるという方法だった。それが今では原稿が電子化され、提出もオンラインで、受け取りはCD-ROMあるいはWebサイトからダウンロードと様変わりしてしまった。変わってないのは論文の中身、研究内容の部分だけであろうか。

論文の中身についてはさておき、今では原稿の執筆から、チェック、修正、整形、出力、提出まで全てパソコン上で全てを一人ででも行えるようになってしまったが、20年前は原稿を作成し、紙媒体に出力し、提出するというフローにおいて原稿が物理的な紙であるということはそれなりに苦労が多かった。Windows95が出る前の頃である。原稿を作成するツールは何を使うのか?ワープロ、一太郎、TeX、ページレイアウトソフトなどなど。図の作成ツールは?グラフの作成ツールは? 打ち出しに使うプリンタは?レーザプリンタが100万円ほどしていた頃である。いざとなったら文章を打ち出したものに図を切り貼りして作成したりもした。作成中の原稿を先生に見てもらおうにも今ほどネット環境が整っておらず、出張で忙しい先生が大学に来た時に手渡しで渡すしかない。もちろん紙の原稿をである。そういう意味では色んな意味でのスキルが要求されたのである。

そんなこんなで締め切り日(郵送で必着)ギリギリで完成した原稿を提出するのは郵便である。だいたい提出先は東京である。都内の大学であれば最悪自分で持っていけるが、九州の田舎からだとそうは行かない。余裕があれば地元の郵便局から速達で、ヤバイ場合は博多の本局へ持ち込むことになる。しかし数日徹夜状態の奴が車を飛ばすのは自殺行為なので、研究室の仲間がトランスポーターばりに車を準備し、原稿の出来上がりを待機し、原稿の入った封筒を受け取り次第博多駅前までぶっ飛ばすのである。そんな意味では学会原稿の提出は研究室のイベント、祭りであったとも言える。

原稿をチェックしてくれる先輩や同期、学会宛の連絡文章の作成担当、グラフ作成担当、切り貼り担当、買い出し担当、輸送担当、野次馬などなど。原稿の中身のクォリティを良くしようとギリギリまで頑張る担当学生を、何とか提出は間に合うように皆で何とかするという仕組みが自然と確立されていた。明日は我身であり、協力するのはあたり前であったからである。そんなこんなで、様々な事柄や人と関わり経験値を上げる事が出来た(上げざるを得なかったとも言えるが)。そんなプロセスは原稿作成から提出までのフローがデジタルになったからといって無くなるものとも思えないが、どうだろうか?

そんな何かを得られるかもしれない卒論、修論の作業も、締め切り、発表までいよいよ2ヶ月程度となった。研究時間を大切にというよりは、研究室で過ごす時間という意味で大切に。

by okkun

0 件のコメント:

コメントを投稿